カウンターでの寿司屋マナー 醤油の付け方から食べ方まで

握りを手で

はじめに

私は「寿司」が大好きです。

みなさんはどうでしょうか?

「高級」とのイメージがある「寿司」も近年、「回転寿司」チェーンの爆発的展開によりかなり身近なものになったと思います。

そして、「ネタ的にはイマイチ」と言われてきた回転寿司も、企業努力などの成果で、一昔前に比べ格段に上質なネタが提供されています。

一方で回っていない方の寿司屋さんも、「職人気質」の「老舗」、そこまではいかないが比較的しっかりした中堅どころ、大衆的なチェーン店、などなど、ある程度の「棲み分け」のようなものがなされつつ、それぞれ頑張ってお客さんに寿司を提供しています。

私が寿司を大好きになったのは、小学三年生か四年生くらいの頃でした。

当時は回転寿司など見かけたことはなく(ただ歴史を紐解くと、1958年に誕生、ということなのであるにはあったらしい)、たまに近所の小さな寿司屋から出前でとって食べていたくらいでした。

それ以前は「寿司は大人の食べ物」という意識が強く喰わず嫌いの面も多々ありましたが、食べられるようになってから、私は近所の小さな寿司屋に通う父のあとをおっかけてついて行くようになりました。

小さな寿司屋

当時通っていた寿司屋は、5人がけくらいのカウンターと、座席が3つくらいしかない典型的な「町の小さな寿司屋」でしたが、カウンターは常連客でいつも賑わっていました。

私は父と二人、カウンターに座り寿司を注文していました。

何もしなくてもネタが出てくる時もある回転寿司と違い、当然注文しなければネタは出てきません。

また当時(もしかすると今もそうかも)、カウンターの常連さんは、寿司についてはそこそこうるさい「旦那」的な方も多かったように思います。

今からすると幸いなことですが、その人たちや目の前で握る板さんから、私は「寿司の食べ方」みたいなものを知らず知らずのうちに教わってきました。

だから、今では回転寿司以外でも普通にカウンターに座り、普通に板さんと会話し……と、普通に「寿司ライフ」を楽しんでいます。

同じ寿司なんだから、回転寿司でもいいじゃないか、という方もいらっしゃると思います。

しかし、「回っていない」寿司屋には、回転寿司にはない、特別な楽しみがあるのです。

前置きが長くなりましたが、今回はそんな「回っていない」寿司屋の「特別な楽しみ」をご案内していきたいと思います。

 

「カウンター」への道~まずは「回転寿司」から

以前勤めていた会社の同僚を行き着けの寿司屋に連れて行き、カウンターに座ったことがあります。

その同僚はかなり硬直して、なかなか食が進みません。

ビールとかかなり飲まして、しばらく時間がたったら、ようやくリラックスしてきました。

あとで聞いたところ、最初はすごく緊張した、と言っていました。

なんで?と聞くと、彼はこう言いました。

「だって、板さんが前に立ってるんだよ」

昔から「カウンター慣れ」してしまっている私のような者には信じられませんでしたが、初めてのカウンターはかなり緊張し、どうしたらいいかわからなくなるようです。

そんな人が「回っていない」寿司屋を楽しむためには、まず、「カウンター」デビューは避けて通れません。

結構難しそう、と感じるかたもいらっしゃるでしょうが、でも大丈夫。

特に、すぐそこで板さんが握って提供している回転寿司店で、追加注文などをしたことがある方なら、別に心配はいりません。

同じ「寿司屋」なんですから、その延長線上でいけばいいだけです。

回転寿司1

実をいうと、先述の「町の小さな寿司屋」以外でも、一人暮らしを始めた頃、その町にあった回転寿司チェーン店からいろいろ教わりました。

鯛などの白身やイカ類、ほたてなどを醤油でなく塩で食べること。

地方によってはワサビではなくカラシを使って食す寿司があること(伊豆大島の「島寿司」)。

カリフォルニアロールや炙り寿司といった、新しいタイプの寿司。

これらはそのチェーン店で初めて知りました。

回転寿司もなかなか馬鹿にしたものではないのです

もし、タッチパネル式の最近の回転寿司しか行ったことのない方でしたら、まずは板さんが目の前にいる回転寿司に行くことをオススメします。

そんな店に何回か通って顔なじみになってくれば、もしかするといろいろな「情報」を教えてくれるかもしれません。

 

カウンターへの道~回っていない店でのカウンターデビュー

ある程度慣れてきたら、いよいよ「カウンターデビュー」です。

回っていない店でも、大衆的なチェーン店などから入るのがいいでしょう。

セットメニュー

それらの店なら、場合によっては値段も回転寿司とあまり変わらずに寿司を食べることができますし、何といっても味噌汁付きのお得なセットメニューが必ずといっていいほど置いてあるからです。

最初はそのようなものから入るのが無難なところです。

中には、カウンターに座ったら「お好み」を注文しなければいけないと、強迫観念のように思っている方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。

「お好み」だろうと「セット」だろうと分け隔てなく板さんは対処してくれます。

もしそれで足りない、と感じたらお財布と相談して追加として「お好み」注文すればいいのです。

あと、最初から「板さんと会話しよう」と気を張ることはありません。

無理に話しかけようとせず、自然の流れに任せた方がいいと思います。

板さんも「プロ」ですので、状況や場の雰囲気ををみて向こうから話しかけてきてくれます。

そうしたら、そこを「突破口」にすればいいのです。

 

寿司の食べ方~握り寿司&軍艦巻き

握り寿司は「手」と「箸」、どちらで食べればいいのか?

よく言われることですが、本当に「どちらでもいい」のです。

私が思うに、大事なのは、「どちらで食べるかよりも食べ方はではないか」ということです。

個人的には、以下は完全にNGだと思っています。

ネタを一度はがして醤油につけ、それを戻して食べる

シャリの方から醤油につける

「手」でも「箸」でも、「ネタに醤油をつけて食べる」のが美味しい寿司の食べ方だと思います(更に言うなら、あまり付けすぎない方が見かけもきれいだと思います)。

難しいという方もいらっしゃいますが、要は「慣れ」です。

握りを手で

握りをはしで醤油

巻物の場合は、普通に醤油につければいいので問題ないと思いますが、「うに」「しらうお」などの軍艦巻きはどうでしょうか。

これについては、最近は便利なものができました。

たらし醤油

専用の「一滴醤油」です。

回転寿司などでは定番でしたが、最近ではそこそこの寿司屋でも置くようになったといいます。

軍艦巻き以外にも、手巻きにも使えて非常に便利です。

軍艦醤油たらし-1

こんな感じで。

では、これが出来る前は、軍艦巻きの場合、どうやって醤油につけていたのでしょうか。

寿司好きなら皆知っていると思いますが、

軍艦ガリ塗り-1

ガリを醤油に浸し、ハケのようにネタに塗っていたのです。

今でも一滴醤油のない寿司屋などでは、こうして食べられています。

さて、ここからは「追加情報」です。

こんな握り寿司の場合はいかがでしょうか。

ひかりもの

今回頂いたのは、小肌と鰯です。

小肌はいいとして、生姜と子葱が薬味として乗っかっています。

これを他の握り寿司と同じような食べ方をすると、薬味部分が醤油にこぼれてしまいます。

食べられないことはないですが、見た目に美しくないし、醤油の味も微妙に変化してしまいます。

どうしたらいいでしょうか。

今回、知り合いの板さんに話を聞いたところ……まず、先ほどの軍艦巻きのように、ガリをハケにして醤油を塗る。

あとは、こういう食べ方もあるそうです。

ひかりものつまみかた0

まず、薬味部分を箸で押します。

ひかりものつまみかた1

次に、その部分を含めて箸でつまみ、かすかに傾けつつ

ひかりものつまみかた3

持って

ひかりものつまみかた4

本当にネタの端っこに「ちょっと」だけ醤油をつけ、食べる。

ということです。

……正直、難しいです。

そのままにいつもの方法をするのに比べれば、確かに薬味の落下はかなり少なくて済みますが、それでも少しは落下しました。

ということで、

たらし醤油

やはり、これを使うのが一番いい、とその板さんも言っていました。

では、一滴醤油などない昔はどうしていたのか、聞いてみたところ、興味深い話が聞けました。

鰺や鰯、さんまなどの、いわゆるひかりものが、今のように薬味をのっけて生食するスタイルをとるようになったのはつい最近ということです。

以前は、まず塩を降って五分程度たったら、それを酢に軽く通して提供していた、ということです。

今の小肌に近いスタイルですね。

 

寿司の食べ方~ちらし寿司、丼ものはどうする?

ちらし・海鮮丼

今年の夏にアニメ化もされたコミック「目玉焼きの黄身いつつぶす?」(原作:おおひなたごう エンターブレイン刊)の中でも話題になりました、「ちらし寿司はどうやって食べる?」についても聞いてみました。

答えとしては予想していたとおり

「ワサビ醤油をかけようが、ネタを別に醤油につけて食べようが、好きな食べ方でいい」

ということ。

ちなみに、その板さんはじめ、その店の馴染みの板さんはほとんど「ワサビ醤油がけ」派でした。

(テレビアニメの実写解説コーナーに出てきた板さんは「別につけて」派でした)

 

「特別な楽しみ」へ

カウンターも、ある程度慣れてくると食べるものが変わってきたりします。

まったり

「回っていない」寿司屋の強みの一つは、その料理レパートリーの幅だと思います。

最近は回転寿司でも、サブメニューがかなり充実してきましたが、ファミリー向けのチェーンなどで出ている「ラーメン」「うどん」「カレー」「豚丼」なんかは、個人的には……どうなんだろう、と思ってしまいます。

まあ、味も悪くはないし、お腹がいっぱいになる、というところでは良いかと思いますが。

これに対し、「回っていない」寿司屋は、麺類こそありませんが、握りなどができるのを待つ間のアテになるようなラインナップが揃っています。

ビール最初のつまみ

少し懐に余裕のあるときなどは、いきなり寿司を頼むのではなく、冷たいビール(私は瓶ビールの方がお気に入り)をやりながら、何か切ってもらいます。

この時はイカと浜ゆでダコ。

ちなみに、イカを細かくするのは何故だかご存じですか?

これも以前知り合いの板さんから聞いたのですが、食中毒の原因となる寄生虫「アニサキス」に対する防御策なんだそうです。

鯖などの青魚に多くいることで知られていますが、イカにも寄生していることが多く、そのため、細かく包丁を入れることでそれらを「断裁」して殺すのだそうです。

焼き物

カマ焼きなどの焼き物もつまみにはいいです。

ここには出ていませんが、顔なじみになってくると、おまかせで板さんが刺身や野菜類を使ったメニューにない一品料理を作ってくれたりします。

それもまた「特別な楽しみ」の一つです。

スペシャルロール

あとは、板さんの「空き具合」をみながら、指定したいくつかのネタを使った「創作巻物」をお願いすることもよくします。

これは、担当する板さんにより、その人の個性が出るので、何回か通い比べていくと面白いものがあります。

この時作ってくれたのが、マグロの赤身や中トロなどを叩いたもの+ラー油をレタスで裏巻き(通常の海苔巻きとは反対になっています)したものです。

こんなことができるのも、「回っていない」寿司屋だからこそです。

 

おわりに

そして、何よりの「特別な楽しみ」はやはり、「コミュニケーション」でしょう。

馴染みの板さんと話をするようになり、そこから同じ店の常連さんと思わず仲良くなったりすることもあります。

そのネットワークが広がり、店の外でも食事や遊びに行ったり、人によってはビジネスにつながったりしている場合もあるそうです。

また、板さんとの会話も、その仕事の状況を見ながら(間をとりながら)、という感じになるので、そのタイミングをどうとるか、というのもまた慣れてくると面白かったりするものです。

相手の仕事を邪魔しないような形でお話したり、店に便宜を図ったりして(例えば席に余裕がないときに自分から移動したり)、お互いに気を使いながら親しくなっていく。

そういうようなやりとりをしていくと、自然と嬉しいサービスが受けられたりします。

いわゆるこれが「常連の醍醐味」というところなのでしょうか。

中には「常連だ!」でえばって、サービスされるのが当たり前のような顔をする人がいますが、ただ何回も来ているだけでは「常連」とはいえません。

店との間に「ギブ・アンド・テイク」が成立してこそ、はじめて本当の「常連」といえるのです。

このコミュニケーションの楽しさこそ、最高の「特別な楽しみ」といえ、ぜひ、これを読んでいるみなさんにも、この楽しい時が訪れるように願っていいます。

寿司やカウンター



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